幼少記憶

3/10
前へ
/272ページ
次へ
『藍梨、藍梨!!』 『愛季? どしたの』 誰が見ても一卵性と判断するであろう、似通った2人の子供。 それが、藍梨と愛季だった。 さらり靡く漆黒の髪に、濃茶の瞳。 透き通る様な白い肌。 文字通り、人形の様な美しさであった。 さぞ両親も鼻高々であろうと言えば、そうではない。 「愛季? あの子は良い子よ、頭も良いし」 「藍梨? あはは、アレは出来損ないさ… 名前の通りね」 同じように腹を痛めて産んだ子供だというのに、愛季と藍梨の扱いの差は歴然。 愛しき季節の「愛季」とは真逆の、古びたボロ雑巾… 「藍梨」。 愛季と同じように勉強していた藍梨がそれに気付いたのは、ほんの3歳の時だ。
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3008人が本棚に入れています
本棚に追加