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「必死に尋ねました。大好きな藍梨の事を」
けれど、両親からの答えはいつも決まっていて。
『そんな子は居ない』
この一点張りだ。
いつしか愛季も、藍梨の事は夢だったのかと思い始め。
両親の思惑通り、藍梨の事を忘れ。
今に、至る。
「でも僕は、僕を犯した藍梨の事も、それを隠した両親の事も怒ってません」
漸く布団から額と目と鼻を出し、愛季は呟くように言った。
「藍梨の気持ちに気付かなかった僕、忘れてしまった僕。どちらも、僕が悪いんです」
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