幼少記憶

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「…ねぇ、八代っち」 「何も言うんじゃねぇよ」 煙草に火を点け、八代は静かに言った。 「香尋が起きたらどうする」 「「「「…」」」」 重苦しい沈黙の中、八代が息を吐く音だけが、嫌に響いた。 「お前ら」 息を吐き出し、八代は無表情のまま告げる。 「明日、空けとけ」 あぁ 苦しきかな 美少年 漸く見つけた家族さえ 自らを縛り付け 戒める鎖となる それは鏡となり鎖となり板となり 愛季を 苦しめる 5匹の悪魔 抜け駆けを赦さず 6匹目の悪魔に敵意をたぎらす さぁ 戦争が 始まる
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