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『香尋 愛季』
部屋の前に素っ気なく掲げられたネームプレートが、そこが愛季の病室である事を語る。
「息、何とか吹き返したんだけどさ」
一際静かにドアを開ければ、ベッドに横たわる美少年。
シーツと同化するほどに真っ青な…この病室の主、愛季の姿。
あらゆるコードに繋がれ、まるで何かに捕らわれているようなその姿は、この上なく痛々しかった。
「なっ…まな「静かに。絶対安静なんだ」
目を見開いて騒ぎそうになる陽を手で制し藍梨は俯いた。
そんな藍梨の胸ぐらを掴み、明が凄む。
「…愛季に何したの」
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