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「え、そりゃ…」
「あっ、えと、決して明さんと寝るのが嫌な訳じゃなくて…」
必死に弁解する愛季。
だが、その言葉は最後まで続かなかった。
ぐるりと回転した視界。
柔らかい何かに押し付けられる背中。
「…明、さん?」
「ありゃりゃ~、ホントに何にも知らないのかな~?」
そして愛季の視界には今、明の顔と顔越しの蛍光灯しか映っていない。
愛季が明に押し倒されたと気付いたのは、その10秒程後のことだった。
「愛季さ。もしかして、こういうコトした事ない?」
「こういうコト… って、何の…」
「…ふうん、そう…」
未だに何が起こっているか分かっていない様子の愛季に、明はさも楽しそうに口角を上げた。
「…っ」
その笑みと、少し覗いた舌。
明の仕草ひとつひとつが、愛季の背中に嫌な汗を流した。
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