3008人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
「普通に考えてみ? 年端もいかねぇオレみたいなガキ、飛び出したって野垂れ死ぬのがオチじゃん」
そう。
愛季を犯し、家族の輪から飛び出したあの日、藍梨は途方に暮れていたのだ。
「いっそこのまま死んでも良いと思った。愛季にヒドいことしたし、生きてても愛季と比べられて蔑まれるだけだし」
そこに、現れたのが。
「そしたら、たまたま東京に来てたアイツに捕まったんだ」
「…香尋、司」
「はい、また正解。」
肩を竦めるように両手を上げ、藍梨は自虐的に笑った。
最初のコメントを投稿しよう!