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「今の気持ち、どんな感じ?」
「…怖い、です」
有り得ない程震えている自分の声に驚きながらも、愛季は答えた。
なのに何故か。
(…昔にも、こんな事… あったような)
何かを思い出しそうにはなるが、今は記憶の片隅に引っかかっているモノより目の前の事に意識を向けねば。
愛季は次に何をされるのかと、明の様子を窺っている。
「そう…」
明はそう言うと、愛季の首筋に顔を埋め、白い其処に強く吸い付いた。
「っ!?」
「あ、痛かった? ごめんね~」
瞬間。
何かが愛季の頭を内側から叩き、反射的に愛季の瞳から涙が零れる。
「っや…」
「え、あわわっ、泣いちゃった!? ちょっ、ごっ、ごめん!」
「やだ… やだぁぁあ」
ぼろぼろと涙を流す愛季。
細い肩を震わせ、まるで幼子のようにもぞもぞとぐずっている。
「愛季っ、ごめんって! お願い、謝るから泣き止んで? ねっ、腫れた目なんか見せたら冷兄達に何されるか~」
必死に宥める明。
明としてはほんのイタズラのつもりだったのだが、愛季には…
「うっ… うぇ、も、やだ、放してぇえ」
どうやら刺激が強すぎたらしい。
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