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「自分にとって不利か有利か分からない内に決断をしろと?」
「いいえ、貴方は分かっている筈だ。僕が今考えている事も、それが貴方にとって不利か有利かも」
海より深く。
闇より暗く。
司は、微笑んだ。
「…賢く育ちましたね。あくまでもあの屑の元で育った割には、ですが」
「屑はどっちだか。それより、早く契約書を」
差し出したままの右手を揺らし、愛季はそう告げた。
「えぇ、えぇ、構いませんよ。これです」
「へ?」
あまりにもあっさりと差し出されたそれを見て、陽が間の抜けた声を上げた。
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