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びりり。
愛季が薄っぺらい紙を破く音が、静かに室内に響く。
「何で、そんな…」
「あぁ、勘違いしないで下さいね? 私は利益の無い取引はしませんから」
ひょいと肩を竦めながら、司はスタスタと愛季に近付いた。
「では行きましょうか、愛季。もうすぐ店が開きますから」
「は…?」
当たり前の様に愛季に掛けられた言葉。
また、当たり前の様について行く愛季。
その全ては他の6人には理解し難い物であったし、信じたくもない物だった。
「まな、き」
「…さよならなんですよ。愛季はもう」
絶望的な言葉を紡ぐ、司の唇。
「ウチの従業員です」
あぁ 光り輝く 美少年
外面は神の如き美しさ
内面は聖母の如き優しさ
全てを持ち合わせ 何を臨むか
美少年
聖母
神
…どうか、幸せに、美少年。
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