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「それじゃ…またね、藍梨」
「おう、電話する」
お互いの手を握り合い、双子は額を合わせて別れを告げる。
「なぁ愛季、知ってる?」
「何を?」
「オレ達の母さん、北海道出身なんだ」
「へぇ…」
ぎゅっと愛季の手を握ったまま、藍梨はにっこりと笑って見せた。
出会った時とは違う、心からの笑みを。
「此処は…北海道は、間違いなくオレ達の故郷なんだよ。だから」
すっ、と、双子の額が離れる。
「またいつでも、帰って来いよ」
「…うん」
愛季も、笑う。
溶け始めた初春の雪に、花を咲かすように。
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