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しかし元より静の視線は3人になど向けられてはいない。
レンズの奥で光る、鋭すぎる程の眼球が見据えるのは煙華。
未だ煙管を振り回す腕を止めない学園長に向けられていたのであった。
「花園学園長」
冷まで、とはいかないものの地を這うような低い声。
(愛季には見えない特殊な黒い)おぞましい程の雰囲気(普通はオーラと言う)。
美しく皮剥けのない、弧を描く唇。
ハッキリ言おう。
今の静は、とんでもなく恐ろしかった。
「まさかとは思いますが、香尋さんをこの3人の餌にしようとお考えで?」
「やだ静くんったら! ちょーっと萌えを追及しただけじゃないの!! 餌だなんてそんな破廉恥な…あぁでもそれも萌える…」
ほんのり頬を染めたまま、煙華はぐふぐふと不気味な笑いを溢した。
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