3008人が本棚に入れています
本棚に追加
/272ページ
「いやっ…ちょっ…良いんですかそれで!?」
「良いのよォ。去年なんか無理矢理起こしたら旅館半壊しちゃったんだからぁ。ったく修理費いくら掛かったか…」
ひっそり暗い炎をバックに燃やしながら、煙華は笑う。
…どことなく明に似ているような。
「だから良いの。さっ愛季くん、アタシと一緒に生キャラメル食べに行きましょっ」
ガッと愛季の腕を掴み、煙華は左手を高らかに上げる。
…キィィイイイィィィイン…
程なく聞こえた風を裂く高音と、地面に押し付けられる様な風圧。
愛季が必死で見上げた空には、アニメやドラマでしか見ないようなそれ。
「隊長!! 行って参ります!!」
「健闘を祈る!!」
そんな会話が似合う、それ。
「カッコいいでしょ? 花園家自慢の自家用戦闘機よ!」
降りてきた縄梯子に捕まりながら、煙華はぱぁっと笑った。
愛季は虚ろな瞳で思う。
もう何でもアリかよ、と。
最初のコメントを投稿しよう!