傍若無人

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そして、もう1人。 「…一卵性双子… だと…?」 細い肩をふるふる(わなわなと言っても過言では無いかもしれないが)と震わす彼女。 輝く瞳はまるで悪戯を思い付いた子供のような、そんな。 「愛季くん!?」 あー何かまた始まっちゃったよどうしようこの人。 喉まで出掛かった言葉を飲み込んで、愛季は控え目に笑い何でしょうと尋ねた。 煙華は既にスイッチオンだ。 何のスイッチかは取り敢えず伏せさせてもらうが、兎に角スイッチオンだ。 ぐわっしと効果音が立つ程に煙華は藍梨の肩を掴み、頭がブレて見える程に激しく揺さぶった。 「萌えるじゃないのォォオオオ!!!!!!!!」 のォォオオオ。 のォォオオオ。 のォォオオオ。 薄紫のラベンダーは心なしか少し揺れ、ドップラー効果をふんだんに使用した煙華の叫びは凡そ200メートル程進んで消えた。 勿論慣れている副会長3人を覗き、傍でまともにくらってしまった2人はぐらり体を傾かせる。 「何よ!? どれだけアタシの萌えのツボを心得てるのよ愛季くん!? アンタ最高!! 何!? 藍梨くんだっけ!?」 早口でまくし立てる煙華に、藍梨はやっとのことで小さく頷く。 「良いわぁ~双子攻め。よし決めた今決めたもう覆したりしない」 煙華はビシッ!と人差し指を藍梨に向け、威厳たっぷりに言い放った。 「君、山茶花学園に編入しなさい!!」
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