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「えっ!? ちょ… え!?」
「何だよ喧しいな。考えてみろ、この学園はあの貴腐人のせいで毎年旅行に行ってんだぞ? 学費はクソ安いのにンな事が出来るってなァ、そりゃ関係者でも居ねェとな」
八代は軽く100人は居そうな召使い達に上着やら鞄やら手渡しながら、つかつかと進んでいく。
反面、愛季は召使い達に触られる度びくびくとしてちっとも進めない。
見かねた八代が犬や猫を追い払う仕草で手を振ると、あれ程いた召使い達は一瞬で消え失せた。
「…忍者ですか」
「フン、かもな」
乱れた身なりを整えてやりながら、八代はさも楽しそうに口角を上げる。
ささくれひとつない柔らかな愛季の手を、大きくて筋張った八代の手が包む。
そのまま歩き出す2人は、何とも言えない奇妙な光景となる。
(龍夜叉様ったら)
(しっ! 気付いてないんですのよ!)
(…まるで誘拐は(お黙りっ!)
…メイド達、中々リラックスして仕事をしている様である。
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