体験学習

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そこで愛季は、漸く理解した。 …あ、心配されてるんだ、と。 「…ふふ」 「てめ… 何がおかしいんだ、あ゙?」 「すすすすみませっ!! や、何か、あの、先生がそんな事考えてると思わなくて… えっと、それで」 赤くなった額を押さえ、愛季はへらりと笑顔を見せる。 「へーきですよ。有難うございます」 八代は一瞬面食らった顔をしたものの、はぁと溜め息をついて愛季から離れた。 「ったく… お人好しが「見た目を裏切る過保護っぷり絶賛発揮中申し訳ありません龍夜叉様。ご注文の品が届きました」 …メイドよ、空気読め。 八代がそう思ったかは定かでないが、メイドはその後給料半額という罰を貰ったとかそうでないとか。 「…クソが… まぁいい。香尋、仕事だ」 「はい? 仕事って…」 「体験学習だよ。そろそろアイツ等も到着する頃だろうしな」 「え? 体験学習? アイツ等?」 ?マークをふんだんに散らす愛季の腕を引いて、八代は再度屋敷の外に出る。 キィィィィィイイイイイン… 昨日聞いたような音がして、昨日見たような梯子が愛季の目の前に下りてきた。 先程何かを運んできたメイドもやがて外に出てきて、風圧で手に持っていた荷物が吹き飛んでいく。 「…八代先生、あれは…」 「あァ… あの貴腐人の依頼でな」 バタバタとはためきながら空を飛ぶ、黒と白のコントラスト。 「お前が着る服だ」 真っ白いフリルがたっぷり付いたエプロンドレスが、愛季の意識をも吹き飛ばしていった。
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