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…が。
「職員室行くの? 場所分かる? オレが送ってやるよ!」
勘違い男達。
斯くして、愛季が寮と少しばかり離れた職員室に着いた頃には…
大行列が出来ていた訳である。
「香尋くんか? …どうした、寮に戻ったんじゃないのか?」
「冷さんっ!」
助かった、とばかりに、愛季は ぱぁと顔を輝かした。
どうやら先程からずっと職員室に居たらしい冷の元に、全速力で駆け寄ってその腰に抱き付く愛季。
そんなタックル… もとい、ハグにフラつく事もなく、冷は大行列を見やる。
そして、半泣き状態の愛季を見て状況を理解したらしく…
大行列に無言の圧力をかけた。
その威圧感といったら、魔王と言えば信じてしまいそうな程だ。
『(ひょえええっ!!)』
声にならない叫び声をあげ、大行列はすぐさま散り散りに逃げ去っていった。
「まったくあいつらは… すまなかったな、誰かが案内するべきだった。特に何もされていないか?」
ゆっくりと背中を撫でながら、優しい声色で尋ねる冷。
愛季はこっくりと頷いて応え、冷は安心したようにふわりと表情を緩めた。
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