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「あ~~~ッ!!!! 冷兄貴、ずっりぃ!!」
「狡いも何もあるものか。それより黙れ… 香尋君が起きる」
静に開かれたドアをくぐり、冷はつっかかってきた陽をさらりとかわす。
柔らかそうな純白のソファが2つに、液晶薄型テレビ1つ。
真ん中にはガラス張りのテーブル、そのテーブルの上には紅茶のカップと凝った細工のケーキが5つずつ…
レースとフリルで纏められたそこは、まるでちょっとした貴族の住まいの様だ。
「兄さん、香尋さんはどうしたのですか?」
「熟睡している様だ。寝息から看ると、どうやらここ数日寝ていないらしいな」
ソファの1つに愛季を横たわらせ、その横に腰掛ける冷。
向かいのソファには 静、陽、明の3人が腰掛け、眠る愛季の顔を覗き込んでいる。
「主役が寝てるなら、起きるまで待った方が良いですね」
ひとつの絵画の様な動作で紅茶を啜りながら、静が言った。
「えー! せっかく待ってたのにか!?」
「まぁまぁ。あんまり騒いでると校則違反にして罰点付けるよ?」
残念そうな声を上げる陽と、絵になる笑顔で注意を促す明。
世間一般では、今の明の台詞を職権乱用というのだが。
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