宣戦布告

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そんな騒がしい生徒会室に居るというのに愛季は一向に起きる素振りを見せない。 痛々しく刻まれた隈も相俟って、相当 疲労しているように見えた。 「明。お前と居る時に、香尋君は何か言っていなかったのか?」 「そう、それ。愛季が居ると言い辛いから後でメールしようと思ってたんだけど… 愛季寝てるからいーや。あのさ」 ぐっと身を乗り出して、明が静かな声で話し出す。 愛季が叔父や親族を嫌っている事、叔父と暮らすくらいならば死んだ方がマシとまで言っていた事。 自分が押し倒した事を除き、愛季が同性愛者でない事まで、部屋で知った全ての事を話した。 「…成程、大方 親族も厄介払いのつもりだったのだろう。…もしかしたら、そのまま病院送りにでもなれば良いと思っていたのかもしれないな」 冷は、指の腹でそっと愛季の頬を撫でながら呟く。 僅かに愛季が身動ぎをしたが、未だ起きる様子は無い。 「かもね。まぁその報復はもっと後にするにして、ボクさ、寧ろ危ないのは他の奴が愛季を襲わないかって事なんだよね」 「あぁ… 確かに、可愛らしい顔をしていますからね」 「だから、ボク考えたんだけど…」 「「?」」 「何をだよ?」 首を傾げる兄2人の気持ちを代弁し、陽が言った。 「あのさぁ…」 そうしてテーブルの中央に頭を寄せ、暫くヒソヒソと話し合っていた4人だが… 頭を離した後、陽と明はニヤリと笑い。 冷と静の2人は呆れ顔を見せた。
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