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「つ、常にって… 意味が分からない…!」
思わず立ち上がり、愛季は放送室に向かおうとする。
冗談じゃない、こんな放送早く終わらせなければ!
慌ててドアノブに手を掛けた、その瞬間。
「っおっと! …あァ、噂の美少年か。なーるほどな、ココで匿ってる訳か」
いきなり開け放たれたドアに驚きながら、1人の男が室内に入ってきた。
「ど、どちら様で…? あの僕、放送室に行きたいんですが…」
「止める気か? 無理だろうなァ、アイツらもう放送室出てるだろうし」
気怠げに答えたその男は、白衣から見るに保健教諭だろうか。
学生にしては些か老いているその男に、眉を顰めて愛季が問うた。
「…だから、貴方 誰ですか?」
「俺か? 俺は保健のセンセーやってる八代<ヤシロ>ってもんだ。まぁ、たまぁに授業教えたりもしてっけどな」
くるくるとよく働く愛季の頭の中で、八代の情報が着々と処理されていく。
つまりは教職員な訳で…
「ちょっ…! 仮にも教職員が 校内で煙草なんか吸わないで下さいよ!!」
ひょい。
愛季の指先に摘まれた火の点いていない煙草が、さっと後ろに放られる。
八代は少し困った様に愛季を見つめ…
「俺、ニコ中なんだって」
「保健の先生でしょう!?」
煙草を拾いにいこうとする八代を必死に押し留め、愛季はふと視界の端に橙がちらついたと自覚した。
「愛季から離れろ、こんのセクシャルハラスメント教師ィ!!」
「…陽さん…」
面倒なのがもうひとり。
半開きだったドアを跳ね退ける勢いで駆け込んで来た陽に抱き締められながら、愛季は呟く。
「愛季! 気を付けろ、こいつはセクシャルハラスメント教師だ!!」
「いやそれ以前に喫煙者ですから… ていうかセクシャルハラスメントて。早い話がセクハラでしょう」
何故略さないのか。
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