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そのまま、男の脳天に踵落とし。
いくら体重の差があるといえ、ノーガードからの踵落としはかなりの痛みとなる。
愛季は離れ際に顎の下を蹴り飛ばし、痛みで放された手を振った。
無論、空中で、だ。
「人と話してる時に、その人の邪魔しちゃいけません」
軽やかに着地した愛季。
口元に手を当て、クスクスと笑いながら… 呆けている5人に向き直った。
「ほら、僕… 結構強いでしょ?」
予想もしない出来事。
例えるならば、可愛らしい愛玩用の兎が牙と爪で襲いかかってきた、というのか。
呆然とする5人と、思いもよらない反撃に怯む男達。
そもそも自分達は主の雇った人物の中でも上に位置する者の筈で。
少年ひとりに何故こんな、と文句を言っていた過去の自分に…
リーダー格の男があっさり気絶してしまった今の状況を見せてやりたい。
青ざめた顔で、男のひとりは小さく舌打ちをした。
「ねーえ、まだやるのーぉ?」
つまらなさそうに男達を見て、愛季は欠伸をかました。
余裕綽々といった感じである。
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