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あの後も何度か押し掛けてきた男達を蹴散らした愛季。
2、3週間が経つ頃には男達は目立って押し掛けては来なくなり、4兄弟と保健教諭は密かに安堵していた。
放送により肥大した転校生特有のほとぼりも今や殆ど冷めつつあり、平和で単調な毎日が続く。
「暇だねぇ~」
「授業中ですよ、明さん」
碌にノートもとらずに、愛季の隣でペン回しをする明。
因みにこの2人、中等部2年の特進クラスである。
「だってボク馬鹿だし? 今更ノートとっても変わんないよ~」
こんな事を言ってはいるが、明の成績は至って良好。
クラスに1人は居たよね、自分は馬鹿だって言いながら平気で90点とかとる奴。
「それでも授業はちゃんと聞かないと。ノート提出の時に泣きついてきても知りませんからね」
小声で注意を促しながらも、愛季はシャーペンを動かし続ける。
真剣そのものな横顔を見て、これが特待生だと痛感した明であった。
「オイコラ春日4!! 次の問い答えろ!!」
「何で保健医が数学やってんのさ!!」
…そんなほんの少しの違和感を除いて、穏やかな毎日が流れた。
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