徒然脅迫

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やがて教室に着き、始業のチャイムと同時に席に着く愛季。 「愛季、本当にどうしたの? いつもなら5分前には座ってるじゃん」 「絆創膏を… 貰いに行ってたんです」 HRも終わり、1限目が始まる。 皆は各々の机から、教科書を取り出してそれを開く。 勿論愛季も教科書を出そうと机の中を片手で探り… そして、刹那。 「…っ痛」 白い手を、紅が彩った。 「愛季!?」 声に反応して飛んできた明に、それらを隠しきれる筈もなく。 愛季の机に仕込まれたそれは、直ぐに発見された。 「…剃刀ぃ? あははは、こんな馬鹿な事、誰がやったのかなぁ」 いつもはのらりくらりと柔らかい瞳が、眇められる。 真剣な表情で、声で、明は続けた。 「明さん」 「なぁに? みぃんな… ボクの声、聞こえないの?」 愛季の声も届かない。 所謂… 「これを仕込んだのは誰かって聞いてるだけなんだけどな…!?」 ブチギレ。 ばん、と大きな音を立てて机に叩き付けられた剃刀は、明の掌に食い込んでそれを容易く切り裂いた。 じわり広がる赤い水溜まりに、愛季が小さく短く息を吐く。
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