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「春日さん」
「え…?」
冷たい声。
他人行儀な呼び名。
そして…
何も映さない瞳。
先程の威圧感と憤怒はどこへやら、明はただ愛季を見つめていた。
「もう止めて下さい」
傷ついた手を持ち上げ、愛季は立ち上がって言う。
「迷惑なんです」
「ま、愛季…」
初めての拒絶。
押し倒した時だって、ここまで軽蔑はされなかった。
ただ、恐ろしい。
まるで、この世の全てを拒絶しているかのような。
否定しているかのような。
そんな空気が、愛季を取り巻いていた。
「何だよアレ」
「何様だよ」
「調子のってんじゃねぇよ」
ひそひそと、周りのクラスメートが話す。
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