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「…何かな、あれ」
後ろからこっそり付いてきていた明。
愛季が何処かへ走り去った後、明はゴミ箱に近付いてその中を覗き込んだ。
「ありゃ、ビリビリ」
他にゴミが入っていないゴミ箱と、自分の周りとを何度か見比べる明。
「…よし!」
明は、決意の瞳で…
ゴミ漁りを開始した。
金髪碧眼、更には美形のゴミ漁りとは、中々貴重な映像である。
「これで全部かな」
細切れになった紙を廊下に並べ、明はジグソーパズルのようにその破り目を繋ぎ合わせていく。
「愛季ってば… こんなに八つ裂きにしたら難しいじゃんか」
暫くそれに熱中していた明。
そして紙が完成していくに連れ、明の表情は硬くなっていく。
どうやら漸く完成したらしい紙を見るか否か、明は走り出した。
「…ッ愛季!!」
今は居ない、あの少年の名を呼んで。
残された紙は、未だ廊下の上。
…その紙に綴られていた文字は。
『愛季君
叔父さんの元へ
返されたくないなら、
今晩、屋敷においで…』
開けられた窓から吹き込んだ風で、その文章はびゅう、と吹き飛ばされた。
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