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「あぁ、愛季君。良く来たね」
「死ね」
仰々しい部屋に入るや否や、愛季は中に座る男を睨み付けた。
「なっ…「ばーか、デブ、大ッ嫌い!!」
つかつかと男に歩み寄り、愛季は着物を出来るだけ捲って、その細い脚で男を思い切り蹴り飛ばした。
太った男の体は大して飛ばず、どさりと倒れるだけに留まる。
「もう二度と僕と、僕の周りの人達に関わらないで」
床に転がる男に冷たく言い放ち、踵を返して立ち去ろうとする愛季。
が。
いきなり背中にタックルされ、俯せに倒れ込んだ。
「いっ… つ」
「ははははは… 放す、もんか」
愛季の腰に手を回し、どもる男。
薄く紅潮した頬と浮かぶ汗は、かなりの興奮を表している。
流石の愛季でも、後ろ手の状態では抵抗の術がない。
「き、君のために私は妻と別れたんだ。 君が手に入らなければ、私は生きる意味が無いんだよ!!」
「じゃあ、そのまま死んじまえ!!」
背中を思い切り反らし、男の頭に頭突きを喰らわす愛季。
ごつりと鈍い音がして、男は顎を押されてもんどり打った。
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