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「生きる意味が無いような奴に、僕を手に入れる資格は無い!!」
愛季は男の下から抜け出し、乱れたおかげで走りやすくなった着物を掻き抱き、全速力で走り出した。
「まっ… 待て!! 待ってくれぇ!!」
後ろから男が追いかけてくるが、追い付く訳もなく。
あっという間に、愛季は庭に飛び出した。
「…あ、ぁ…」
…両親の命を奪ったあの日。
あの日も嵐が、あぁ、轟く雷が吹き荒れる風が叫ぶ大地が。
肉が焼けた匂いと死の香り、愛季は自分でも知らなかった。
…嵐が、愛季のトラウマとなってしまったことを。
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