奪還合戦

12/12
前へ
/272ページ
次へ
「怖っ! 静兄貴 怖っ!!!」 「ただの癇癪玉ですよ。…火薬の濃度を10倍にして、湿気ないように改造はしてありますけどね」 「ボク、人殺しの弟は嫌だよ~」 「グズグズ言ってんなガキ共!!」 八代が叫ぶと同時に、先頭を走っていた冷が立ち止まった。 「チッ… お前らが騒ぐから」 「ひでー、冷兄貴」 そこに立っていたのはスーツの男。 濡れて深みを増した茶色の髪の。 「何を立ち止まっているのですか! 早く逃げて下さい!!」 時雨。 「え? これボクが言うのも何だけど、ボクらを止めに来たんじゃ…」 「私は… あなた方を止める気は、一切ありません。だから愛季を連れて… 早く!」 時雨に言われ、堰を切ったように走り出す5人。 途中、1度だけ明が振り返り… 「ありがとー!!」 雷に負けぬ大声で、それだけ叫んだ。 あぁ 幸か不幸か 美少年 悪魔に借りを作られた 運命は既に狂いけり 愛しき季節の名の通り 愛季 何もかもから 愛される者なり…
/272ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3008人が本棚に入れています
本棚に追加