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「怖っ! 静兄貴 怖っ!!!」
「ただの癇癪玉ですよ。…火薬の濃度を10倍にして、湿気ないように改造はしてありますけどね」
「ボク、人殺しの弟は嫌だよ~」
「グズグズ言ってんなガキ共!!」
八代が叫ぶと同時に、先頭を走っていた冷が立ち止まった。
「チッ… お前らが騒ぐから」
「ひでー、冷兄貴」
そこに立っていたのはスーツの男。
濡れて深みを増した茶色の髪の。
「何を立ち止まっているのですか! 早く逃げて下さい!!」
時雨。
「え? これボクが言うのも何だけど、ボクらを止めに来たんじゃ…」
「私は… あなた方を止める気は、一切ありません。だから愛季を連れて… 早く!」
時雨に言われ、堰を切ったように走り出す5人。
途中、1度だけ明が振り返り…
「ありがとー!!」
雷に負けぬ大声で、それだけ叫んだ。
あぁ 幸か不幸か 美少年
悪魔に借りを作られた
運命は既に狂いけり
愛しき季節の名の通り
愛季
何もかもから
愛される者なり…
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