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瞬間、ぼろりと。
愛季の目から涙が溢れ出した。
「…っ、はぁ」
「え!? ちょ、あれ、これボクのせい!?」
ず、と鼻を啜り、本格的に泣き出す愛季。
明は慌てて愛季の頭から手を離し、助けを求めるように静を見た。
ふぅと溜め息を吐いて、静が愛季のベッドに歩み寄る。
「泣かなくても良いんですよ。香尋君は何も悪くないんですから」
呆れたような、困ったような…
妙な顔つきで、愛季の頭を撫でる静。
「う… ひ、く」
「ちょ…っ コラ! ちゃんと拭け! 布団に鼻水付けんじゃねぇ!!」
ティッシュを箱ごと投げ渡しながら、八代が叫ぶ。
「ふ… ぅう、う」
「ま、愛季! チョコあるぞチョコ!」
泣き止ますこと最優先。
無駄な動き満載の陽が、ポケットからチョコレートを引っ張り出した。
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