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ぶうたら文句を言う陽と明を半ば引きずるように連れ、兄弟達は保健室を出た。
「ったく… 何年経っても騒がしいガキめ」
「何年経っても?」
「あいつらは初等部からこの学園で育ってるからな。俺ァここの専属医みてぇなモンだから… あぁ、もう春日1とは15年の付き合いになんのか」
「へぇ… ねぇ先生、もう1つだけ聞いても良いですか?」
布団にくるまりながら、愛季が眠たそうな声で問う。
「…1つな。聞いたら寝ろよ」
「有難うございます。じゃあ、」
目鼻だけを出し、微笑む愛季。
「先生の、下の名前は何て言うんですか?」
その言葉を聞いた途端、八代の肩がぴくりと震えた。
「…何でンな事聞きたがんだ?」
ぷはぁ、と煙草の煙を吐き出し、八代が呟くように言った。
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