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「―――……李央?」
要は驚きに目を見開き、目の前の光景を凝視した。
「に、にゃぁ―――!!」
時は数分前
終業のチャイムが鳴り、珍しく生徒会のなかった李央は、恋人である要と一緒に帰る約束をした。
校門を出て数分、日も傾き始めた頃になると、だいぶ空気も冷えてきていた。
寒がりな李央が小さく震え始めたのを見て、要はその肩を抱き寄せようとした。
普段は照れて抱かせてくれない李央が、珍しく大人しかったので遠慮なく抱き寄せたのだが…
「…李央…猫?…」
小柄な李央の頭部が肩に触れるとフワフワとした三角形の耳があることに気づいた。
「なんだこれっ!なんだこれぇっ!にゃ…!?」
要の言葉に恐る恐る自分の頭を撫でて、そこにあるはずのない猫耳があることを認識すると、激しい羞恥と驚愕が一気に襲いかかる。
しかも、自分の口から出た猫の鳴き声と思われる声が出ると、李央の全身が粟立つ感触がした。
「李央…こっち…」
今にも卒倒しそうな李央を抱えて要は走った。
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