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もし、私がナイフを手に持っていたならば。
私は間違いなく、少年達をとびっきり残酷な方法で殺しただろう。
例えば彼らの爪をゆっくりと全て剥がし、指を第一関節から一つずつ切り落とすとか。
彼等の眼球をえぐり出し、切り取った舌を喉に詰め込んで呼吸困難にさせるとか。
それは、汚れた指で彼に触れた罪。
それは、濁った瞳に彼を映した罪。
それは、下品な声で彼を罵倒した罪。
しかし、今現在、私はナイフを持っていない。
それがとても、悔しくて堪らなかった。
「何をしているの」
彼を囲むように周りに立つ少年達へ、殺意と怒りをこめて言葉を放つ。
彼らは私の顔を見た瞬間、顔を歪めてどこかに逃げて行った。
後に残るは、カッターナイフで切り裂かれたボロボロのシャツを身に纏う彼と、私。
私は無言で地面に倒れる彼の元へ歩みより、口端から垂れる赤い血液をハンカチで拭う。
僅かに赤い彼の頬、乱れている息、焦点の合わない瞳、彼等に彼が何をされていたかは明らかだった。
私の中の赤い殺意が、私に囁く。
『死が救済に思えるような苦痛を、彼等に与えようじゃないか』
『生かさず殺さず、正気のまま残酷な拷問の数々を彼等に』
『彼が与えられた苦痛以上の苦痛を、罪深き彼等に!!』
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