伝わるということ

3/5
前へ
/213ページ
次へ
この状況で他に心当たりの無かったおれは、とりあえずそいつに小声で話しかけた。 俺「とりあえず、自分の名前言っとけ」 すると、そいつは少しだけ顔を上げて立ち上がり、まるで呟くように言った。                               美「・・・和泉美咲(いずみみさき)」 俺「待て、俺の方見て言ってどうすんだよ。そうだな・・・後ろの出入り口あたりを見ながら言うんだ。そうすりゃだいたい全員に聞こえるだろ」 そう言うと、和泉はゆるゆると俺の指した方を向いた。 美「・・・和泉美咲」 まずは名前。                           美「・・・・・・」 (かたんっ) 俺「もう終わり!?いやいや、もうちょっと他に言うことあるだろ!?」 美「・・・・・・」 《名前・・・言ったよ?》
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10263人が本棚に入れています
本棚に追加