躑躅ヶ崎館

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静かな沈黙を破り話を始めたのは武田信玄であった。 武田信玄「みな、よう来てくれた。今日来てもらったのはかねてからの考えでもあった事を実行するためにじゃ」 信玄が話すと辺りの空気が震えまるで何かの圧力を感じているかのようであった。武田信玄と言う男はそれほどの者である。 馬場信春「ほう、お屋形、かねてからというと、まさか越後の事ではあるまいな…いよいよ天下を取るのかね?」 馬場信春は信玄を見て、その横に座っている者に目を向ける。 その者は顔を隠してはいるが少し微笑むのがわかった。 武田信玄「流石は鬼美濃よのぅ、主の言う通り越後の事よ。山県、秋山、高坂、これから何が起ころうとこの館にいる間は刀を抜く事を禁ずる。よいな?」 武田信玄は山県昌景、秋山信友、高坂昌信、三人の目を一人ずつ見て三人はそれに従うかのように返事をしていく。
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