躑躅ヶ崎館

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武田家の面々は緊張が走るのを感じている。 武田信玄は全員を見てから合図をする。 武田信玄「ふむ、では全員頭巾を取り顔を、」 武田信玄の合図で全員が頭巾を取り顔をあらわにした。 始め静かにお互いを確認しあうように見ていた武田家の者達も相手の正体が分かったのか次第にしかめっつらになっていった。 高坂などは相手がここにいる事が信じられない様子である。 最も早く反応したのは山県昌景である。 山県昌景「何故この者達がここにいる。ここは武田領土であるぞ、おのれら!先の戦忘れたわけではなかろうが!お屋形!直ちにこの者達を斬る許しを!!」 今にも刀を抜こうとする山県昌影を武田信玄は静かに制した。 武田信玄「山県よ、言うたであろう。刀を抜く事を禁ずるとな。謙信、上杉家の重臣達よ山県に代わり詫びを申す。大変失礼した。わしに免じてこの場の無礼、許していただきたい。」 山県昌景が怒るのも無理はなかった。 武田信玄の横にいるのはかつて川中島で何度も激闘を繰り広げた相手、上杉謙信なのである。
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