躑躅ヶ崎館

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上杉謙信「信玄よ、気にする事はない、山県昌景殿の言い分ももっともなり、我ら上杉家と武田家は長年敵対関係にあり先の対戦では双方多大な犠牲をだしたそれは十分わかっておる。山県昌景よ、過去を水に流せとは言わぬ、せめて今一時だけでも今までのいざこざは忘れ、我と信玄の話を聞いて貰えぬであろうか?話の後に我らを斬ると言うのならば潔く斬られよう、」 山県昌景も戦国の世に育ち部隊を動かす身分である。上杉家当主上杉謙信の言葉がどれだけの意味合いをもつかすぐに理解した。越後の龍が天下の武田家のとはいえ一武将に過ぎない山県昌景に斬られてもよいほどの覚悟をしているのだ。 山県昌景「上杉謙信殿、上杉家の重臣達よ、大変失礼いたした。己如きが出過ぎた真似を、この通りだ、」 山県昌影はすぐに刀を置き頭を下げる。 上杉謙信「山県昌景、構わぬ、面を上げよ、我は構わぬ、おぬしらもよいな?」 上杉家の重臣達も頷く。 いきさつを見ていた武田信玄は少し満足したように話を進める。 武田信玄「みな、今日は争うつもりで呼んだのではない、両家の者よ、肝に命じてほしい、…川中島で見知った顔もおるじゃろうが…上杉家の者達を紹介しよう、」
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