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「なんっじゃこりゃ!?殺風景じゃのぉ!どこもかしこも金属だらけやないかい!」
「驚かれるのも無理はありません……普通ならここに来ることすらかないませんから、普通なら」
確かにそうだ。
さっきから通路らしきところを歩いてはいるが。
……何なのだろう。
この酷く現実離れした建物は。
複雑に入り組んだ通路。目を凝らすと、至る所に何のだか知れないマークがちらつく。盾をモチーフにした紋様に、《WSMT》と印されていた。気がつかなかったが、スキンヘッドや他の奴らの全員がそのマークを身に付けている。
これじゃまるで、軍隊か何かだ。
「戦争でも始めるつもりかよ……」
「その通りです」
「えっ?」
聞き間違いだろうか。
いやに引っかかったのでもう一度聴こうとしたが。それも叶わず、遠方より飛来した声に邪魔をされる。
「コルトさん!《適合者》が見つかったって本当ですか!?」
後方から、髪の長い白衣を着た女がスキンヘッドの……《コルト》とやらにデカい声で走りながら話しかけた。
「あぁ」
「へぇ~。この二人ですか……」
動物園にいる珍種の動物のように俺達を眺めてから、言った。
「まぁ、何はともあれこれで八人全員揃いましたね!!」
「そうだな……」
八人?
俺達以外にも誰かいるのか?
それに《適合者》?
何のことだ……。
「ラシャ、現在他の適合者はどこにいる?」
「はい、他の六人はもうすでにメインデッキに集合済みです」
《ラシャ》と呼ばれた女は的確に必要な情報をコルトに報告する。
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