【第一話━scene2】

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 突然、俺が見渡せる全ての世界が情報を途絶させた。  ……何も見えねぇ。  重く。  鈍く。  空気を裂く音が辺りに鳴り響き、ザワザワと音を立てながら機内が慌てふためいた。 「何なんだ?」  機内の乗客全ての脳内には、この疑問点が浮かんだに違いない。  事実、俺達晴嵐一家は脅えていた。 「……大丈夫。大丈夫だからな」  アテのない父さんの言葉。しかし、それにしか縋ることが出来ぬ自分。  俺はこの時、冷や汗に全身を蝕まれた。悪い予感がしてならなかったのだ。  太陽光が照り返る遥か上空が、得体の知れぬ《黒》に支配されていく。  見えない《壁》。  見えない《檻》。  自分勝手な人達は、何が起きたのかと。自分達の保身を優先している。  それが当たり前なのだと。醜い人間なのだと。俺は、その(初めて)理解したのかもしれない。  そして……。  俺の勘は当たってしまったのだ。  想像を超越して。
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