遥か彼方のわすれもの

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私はペットボトルをテーブルに置き、掛けて貰ったパーカーをちゃんと着てジッパーをしっかり上げた。 「ところで……サクラ……だっけか?お前、なんであんな所で寝てた?ホームレスなのか?」 「ホームレス……かも?」 こっちの世界では。 「だからなんで疑問形なんだよ。春とはいえ夜はまだ冷えるんだぞ?せめてネカフェに行け」 なんとも返答のしようがないので黙ってペットボトルを口にする。 「……家出娘って年でもないよな。帰る所はあるのか?」 「…………」 私が黙ってると、草薙さんの携帯がいきなり鳴った。 久しぶりに聞いた電子音に身体が大きくビクつく。 「俺だ。ああ……止めた。今日は普通に休む。月曜日で充分だ。……分かった」 仕事の話だろうか。 ひょっとして私のせいで仕事休んだのかな……。 草薙さんは携帯をテーブルに置き、私を見つめる。 よく見ると髪も瞳も薄茶色だ。外国の血が混じってるのかな。肌も白い。 目はちょっとつり上がってて、一見怖い印象だ。 そう……ちょっとカイルさんの目付きだ……。 メガネとか掛けられたら最恐だ。 ある意味これもトラウマだよ……。
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