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保険証……懐かしい響きだ……。
「……ない」
「ま、いいか。どうせ今から行っても時間外だし。
いいか、今からあそこに見える救急病院に行く。
万が一俺がそこを通り過ぎようとしたら遠慮なく車から飛び降りろ、俺は止めない」
「……分かった」
結局私は彼の車に乗り、ちゃんと病院に連れて行って貰った。
そこで私は彼の蹴ったサッカーボールが当たり、更に何故か反転して石に頭を打ち付けたらしいと言う事が判明した。
しかし大きなコブが出来たくらいで特に問題無いらしい。
心配なら明日また来て検査を受けるよう言われて帰された。
そして彼は保険証の無い私の為に10割の治療費を支払い病院を出た。
「明日どうする?検査受けるか?」
「ううん、いい……」
はぁ……もう陽が暮れてきた……。
ここどこなのかな……。
例え私のアパートが近くにあっても、もう違う人が住んでるんだろうなぁ……。
「今日は悪かったな、家まで送る。どこだ?」
家か……。
魔王城ですって言ったら明日検査に連れて行かれるな……。
「……じゃあさっきのグラウンドまで送って貰えますか?」
「……分かった」
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