遥か彼方のわすれもの

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再びグラウンドの駐車場に戻った私は車を降り、とりあえずお礼を言った。 「病院にまで連れてっていただいてありがとうございました。病院代はお返し出来ないと思いますがご了承下さい」 「あ……よかったらメアド教えて貰えないか?何か異常があったら連絡してくれ」 「携帯……持ってないんで……」 「……警戒する気持ちは分かるが何かあったらこっちが困る」 「すいません、本当に持ってないんです」 「……じゃあこれ、俺の携帯番号とアドレスだ。何かあったら必ず連絡をくれ」 「……分かりました」 彼はスケジュール帳を破いてメモを私に手渡した。 こんなもの貰っても連絡のしようがないけどね。 公衆電話すら使えないし。 「じゃあ気を付けて帰れよ」 「はい……」 紺色のアウディは走り去って行った。 これからどうしよう。 なんでいきなりこっちの世界に来ちゃったのかな。 うっ……寒い……。 桜が咲いてるって事は、まだ季節は春、さすがに夜はまだ冷えるな……。 私はとりあえずグラウンドのベンチに入った。 こんな所で焚き火とかしたら怒られるんだろうなぁ……。 てか火すら着けられないけど。
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