遥か彼方のわすれもの

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ああ……ダイスさんやナッシュさん達心配してるだろうなぁ。 シュウにも連絡いったかな。 きっと皆必死に私を捜してる。 でもその内帰れるよね? どうせ引き戻されるんだし。 それがいつかって事が問題だ。 この寒空の下、いつまで野宿出来るかなぁ。 ご飯も食べられない。 今日はとりあえずここで寝よう。 既に暗闇に包まれたグラウンドで私はその日、身を縮込ませて長椅子に横になって夜を明かした。 「……おい、おいお前!!サクラ!!」 うう……寒い……。 朝靄でじっとりしている身体を起こし、寒さで自分を抱き締める。 「こんな所で何やってんだ!!」 顔を上げると昨日の男の人。 名前は確か、草薙 惣さんってメモに書いてあったな……。 「……おはようございます」 「おはようじゃねぇ!!ひょっとしてお前、一晩ここにいたのか!?」 「……はい。寒かった……」 「馬鹿……!ちょっと来い!!」 スウェット姿の草薙さんは私の腕を引っ張り、駐車場へと連れて行く。 いまいち目覚めてない私は黙って草薙さんの車に乗ってしまった。 草薙さんはエンジンをかけヒーターを全開にする。 そして車を走らせ、とあるマンションに辿り着いた。
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