遥か彼方のわすれもの

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私はすっかり目が覚めたが、あまりにも強引に引っ張っていく草薙さんに、ただ呆気に取られたままだった。 大きなマンションの地下駐車場に車を止め、エレベーターにカードを挿し、ぐんぐん上へと上って行く。 開いたエレベーターの前には廊下は無く、正面にいきなりドアがあった。 再びカードを挿し込みドアを開ける。 中はアルスのタキオンにあったマンションみたいに広く、家具なんかも高級そうな物ばかりだった。 「おい、兎に角風呂に入れ、もう沸いてるから。 着替えは適当に用意しとく」 「あ……あの……」 「風邪を引きたくなかったら早く入れ!」 私は背中を押され、無理矢理バスルームへと追いやられた。 暖かい湯気が浴室の換気口から漏れてくる。 私は寒かった事を思い出し、兎に角お風呂に入る事にした。 ああッ!日本のお風呂だッ! しかも乳白色の入浴剤まで入ってる!! 私は手早く身体を洗い、温かいお湯に浸かった。 あぁあぁ……幸せ……。 お風呂ばんざい……。 あまりにも気持ち良すぎて、気が付いたら私は一時間以上お風呂に浸かっていた。
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