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私の必死な叫びが届いたのか、ようやく女は足を止めてくれたが勢いよく振り向いたその形相はなぜか険しく真剣だった。最初の印象とは全く違う。
な、なんなんだ?
女の気迫に押され、私は無意識に口元を引き締めた。言葉が出て来ない。
やっぱりちょっと怖い。
「いいから早く走るのよ! しっかり身を守りなさい。のんびりしてたら裸になっちゃうわよ」
え、ええ? い、今なんとおっしゃっ……ハッ!
確かに私の身の回りのものが人混みに紛れてスラれていってる。つまり、平和に見えて此処は良からぬ者が多いという事ですね?!
まずい! 裸だけはご免請うむりたい!
私の片手は導かれるままに女の手を離せぬ状態。残されたもう片方の手で、しっかりと残された二枚布の服と銀の腰ベルトを抑えた。
嗚呼つまり、ついたばかりなのに既に災難に遭ってるという事ですか。
結局こうなるんですねぇ。
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