記憶の行き倒れ

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 やがて、彼女も落ち着きを取り戻し事情を確認し合った。  彼女の名前は香蓮(シャウレン)。通称レンと私は呼んでいた。レンは私のせいで妖魔になってしまった。  ……なんでだったかなぁ? 「はぁあ? アンタが死にかけたアタシに命を分けてくれたからでしょおーがあぁ─っ!!」 「ヒールのかかとで叩かないで下さいよっ!! 痛いじゃないですかっ」 「アンタの方が痛いわよ。本当に永く生き過ぎて頭ん中大丈夫なの!?」  既に私達は部屋の円卓を囲んで椅子に腰をかけ、私は完全に逃げられない状態で過去を振り返る。  彼女はもともと白い鳥だった。昔、私の友であった事は覚えている。いや正確には思い出したのですが。 「さあ? もう何十年経ったのか、何百年なのかさえも分かりません。山奥で一晩寝て覚めたら住宅街になってたり、ちょっと休んでたら辺りの風景や情勢が変わってたり、そして今こちらに足を運んで帰ってきたら、また古き時代な頃に戻ってきた雰囲気の街並みでしたし……自分自身もさっぱり分かりません」  彼女は呆れ返り、重い溜め息を吐いた後で久しぶりに私は懐かしい名を呼ばれた。 「シン……アンタさぁ」  ああ、それ程私は長く自分の名を呼ばれていなかったのだなと反射的に実感した。  
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