《出会い》

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 それは、微かな兆し。  音はなく。  刺激されたのは、嗅覚。  どこかで嗅いだことのある匂い。 (何だったかなぁ…、)  半分寝たままの意識。  眸はしっかり閉じたまま。  ぼんやりした脳裏に姉の姿が浮かび、 (…げ、) と僅かに眉間に皺を寄せた時。 (…あ、分かった。マニキュア…)  答えを見出だした卓がそっと瞼を開くのと、眉間にぺた、と何かが触れるのとが、ほぼ同じ。  見知らぬ眸と、かち合った。  …あ? .
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