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細く長い睫毛で縁取られた切れ長の眸。
微風が、目の前(頭上?)の彼のネコ毛をなびかせた。
…誰?
知らず知らずの内に、卓の眉間にまたも皺が寄る。
彼は形のいい唇の端を持ち上げた。
「寄ってる」
くすり、と笑いながら。
「…あ?」
「皺、寄ってる」
卓の眉間をそっとなぞると、細い指を自分の眉間に持っていく。
ごろん、と寝返り、正面から彼の姿を捉える。
全くの、初対面だ。
「…てか、誰?」
そいつは俺の質問には答えず、ふはっと笑った。
幼さの残る笑顔に、俺はぼんやりと見惚れていた。
そいつの指先は、綺麗に整えられ、艶々としていた。
あぁ、やっぱりマニキュアだ。
頭の片隅で、そう思っていた。
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