《出会い》

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 ぽかぽか  すやすや  ぽかぽか  さらさら…  あー…気持ちいい。  いつもと変わらない場所に寝転び、  いつものように空を見上げ、  いつものように微睡む。  ただ、いつもと違う事をいうなら…  「くすくす…、たぁま、」  一人じゃないということ。  俺はちら、と横隣に目をやる。 「だぁかぁらぁ、切るとこ間違えてんだよ、お前」  くすくすと楽しそうに笑う、そいつも、いつの間にか俺の真似をするかのように日向ぼっこをしている。  たまに爪いじりをしながら。  風に靡俺の髪を弄びながら。  俺の名字を、ペットの名前を呼ぶかの如く、ふわりとした声音で呼びながら。  初対面のぎこちなさとかそいつには一切無くて、いたいからいる、みたいな。いて当然みたいな。だから、何?みたいな。  そんな雰囲気。  そんな 感じ。  だから俺も、いたいからいる、みたいな。  いつもの場所にいるわけなんだけど。 そいつは俺の名前を聞くなり、猫みたいに人の事を『たま』だなんて呼び始めた。 .
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