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「玉、」
「…。」
だから、そこで切んじゃねぇって!
「タマ?」
「……💢」
んな明らか猫呼ぶような言い方すんな!
「たまぁ、」
「あー、もぅ何だってんだよ!」
いい加減痺れを切らした俺は、『たま』と呼ぶそいつの呼び掛けに応えることになり、以後そう呼ばれるであろうことを、覚悟せざるを得なかった。
そいつは俺の肩口にぴたりと頬を寄せると、頭をもぞもぞと動かし、寝心地の良いとこを探した。
ちらちらと、柔らかそうな髪の毛が視界を遮る。
「お前、近ぇよ」
「シロ」
「…あ?」
「シロでいい」
「……あぁ?」
会話のキャッチボールが出来ないと思うのは俺だけか?
「俺、白石悠紀(シロイシ ユキ)ての」
…あぁ、名前ね。
「ふーん。」
ぽかぽか
そよそよ
ぽかぽか…
大好きな日向ぼっこ。
ある日突然、現れたこいつ。
二人日向ぼっこも、悪くない。
「シロ、近ぇって」
ぽつりと名前を呼ぶと、嬉しそうなシロの顔が目の前に現れた。
「たぁま、」
ぺと、と俺の眉間に人差し指を載せた。
…あ?また皺寄ってるってか?
俺は自分でも自然に頬が緩むのを感じた。
…変な奴。
つん、とマニキュアの匂いが鼻孔をくすぐった。
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