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『………長………社長!
……藤崎社長!!』
「えっ?」
『え?じゃないですよ!
書類、落ちましたよ?』
「あ、あぁ…ごめん」
無駄に大きい机の横を見ると、私が落としたであろう書類の束が
拾って再び仕事を始めた。
「………………。」
しかし、すぐに手が止まる。
そんな私の様子を見ていた秘書は
はぁ…と小さくため息をついて話しかけてきた。
『…どうしたんですか?
最近…』
「…ん…いや…
別に何でもない」
ぼんやりと窓の外を見ながら呟くように答えた。
『はぁ…じゃあしっかり仕事して下さいね?
お茶でもいれてきますから。』
「……うん……」
―――私は藤崎真由美。
一応、この会社の社長をつとめている。
最近父に代わって社長になったばかりで…
はっきり言って毎日がつまらなかった。
好きな仕事にも就けず、好きな事もできず…
縛られた生活を送ってきた。
「はぁ…」
何とか実家は出れたものの…案外一人暮らしはつまらない。
つまらない毎日…
私はほとほと嫌気がさしていた。
――この時までは
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