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「かよちゃん!あれだよ!あの男の子だよ!!」
「え?」
フヨが指(みたいなもの)指す方向には、確かに、校舎から出てきて一人でこちらに向かって歩いてくる男の子がいた。
男の子といっても、高校生なんだから、あたしと年は変わらない…はずなのだ。
なのにその男の子は、まるで波乱万丈な人生を歩んできた中年男性のように、妙に落ち着いていた。
そこだけ空気が違うのが、遠目からでも分かる。
これは死神の力なのだろうか。
「あの人もう死ぬの?」
「うん。三日後だね」
あっさりとフヨが言う。
「死神がとりついてから、ちょうど三日後に死ぬんだよ」
「とりつくって?もうとりついてるの?」
「ううん。彼の体に触れて初めてとりつくことができるんだ」
「触れたらって…!?あたしさっき思いっきり触れちゃったよ!!触れるどころかもう通り抜けてたよ!!どうしよう!なんでもっと早く言ってくれなかったわけ!?あたしみんなにとりついちゃったよ!大量虐殺だよ!!!」
「まあ、虐殺ではないよね。確実に」
フヨさんは普通に間違いを正してくれた。
「ちょっと!そんなこと本気でどうでもいいよ!ちゃんと質問に答えてよ!!あたし人殺しになっちゃうよ!」
「まあそれ、死神だから当たり前だよね」
フヨ様はしっかりとおかしな点をみつけてくれる、とても親切な生き物らしい。
「あんた、あたしのことからかってんの!?絞め殺すわよ!?」
「いや、僕、死ぬとか以前に生きたことないし」
「殺す!!!!!!!」
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